そして二人は幸せに暮らしました~その5~

葬儀は村の人が亡くなるたびにあったけれど、領主様の場合は私が分からないくらい凄い事になった。朝から晩までお客さんが来て麦の収穫時期の時より大変で毎日お掃除していた時がうんと昔みたい。奥様とおしゃべりをしたい。だけども朝昼夜お仕事をしている奥様を見ていたらそんなことを思ってる私はとってもダメな子なんだ。多分とっても偉い人たちだと思うけど綺麗な身なりをした人たちが沢山来てミセス・メキュベリー、ゾンナさんはちゃんと仕事をしているのに私はどうしようって焦っちゃってそれで奥様にあんな下働きに案内させるとはどういう事だと言われてしまって私がもっと良い使用人だったらなんて。棺職人のおじさんが来たときは始めてみる人だったけど村の職人さんたちみたいで何だか安心した。そこだけ知ってるところに来たみたいで。いつも旦那様についていた執事のミスター・チーリーはルクベスさんと一緒に奥様のお仕事のお手伝いをしている。旦那様がしていたことを今度は奥様がしないといけないらしい。朝が来たらすぐに夜が来るような気分。ゾンナさんがいつもだったら絶対しないお仕事中のお喋りをしてきてビックリした。「私達はもしかしたら終わりかもしれませんね」って。私は難しいことは全く分からない、家族と麦と奥様がいればそれでいいけれど周りはそれだけじゃいけないっていうのが良く分かった。領主様ここの一番偉い人っていう事だけは分かっていたけれどお父さんよりどれくらい偉いのかは分からなかった。でも領主様がいないっていうのはとってもとっても大変な事なんだっていうのは分からないけれど分かった。奥様が仕事をしているけれどずっとお屋敷の中で本を読んでいたからできないって。だから全然知らない人が領主様にならないといけなくてそしたら奥様はここから出て行かないといけなくてお仕事を貰っている私たちも出て行かないといけなくて。急にお屋敷全部がぐるぐるぐるぐるぐる回るはじめて、ふらふらしていると首が痛くなって思い出した。私が旦那様を殺したんだ。お腹が痛い痛い体中が寒くなってきて、胸が石になったみたいになって
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今日だけでも5回お腹のものを戻してしまった。せっかく私たちの為に作ってくれたスープとパンなのに。無くなっても無くなっても全部出続けてあの日の動かなくなった旦那様がこっちを見ていて。冷たくなった旦那様が。皆が知ったら話に聞く都の塔で首を斬られる。お父さんお母さんは人を殺した子供の親って言われて、私のことなんかどうでもいいんだ麦を収穫できなくなっちゃうんだ来年も良い日が続きますようにって言っていたのに笑って。奥様は自分の旦那様を私のせいで殺す事になって、私なんかがいなければって。
話が聞こえてくる限り旦那様が本当は私が殺したっていうことは知られていないらしい。私が奥様とおしゃべりをしていたという事も知られていなかったのは腰が外れるような気分。怒った旦那様が足を滑らすというのは何もおかしいことじゃなかったみたいで、こんな死に方する何てって。この首の傷と上手に作っていただいたお話で皆信じてくれた。話が前までは旦那様のお話なんて誰もしなかったのに、教会でお喋り注意をした男の子たちが牧師様が帰ったらすぐに大きい声でおしゃべりをした。あの時みたいで。私は、教会で牧師様がお話しする時間がとっても好きだったってこと思い出した。だからしゃべらないでって言ったら殴られて、そしたら牧師様が怒ってくれて。あの夜からここに来てから忘れてたことがどんどん出てくる。とっても懐かしくてあの時に行きたい。もし旦那様の体を見ておかしいと誰かが見つけたら、きっとあの日首を傷つけられた私と旦那様が死んでしまったことが一緒ってことに気づかれちゃう。そうなったら、もう首はすぐ離れて。すぐにどこかここじゃないどこかに行きたいけどそしたら私が殺してしまったことにきづいてしまって。ちょっとでも私がおかしいことをしてしまったら、皆私を見て、殺したんだあの娘が殺したんだ。普通にしなければいけなくてそこからちょっとでも落ちちゃったら、お前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した。そうです私が殺しましたって誤ればこんな思いもしなければ住むのかな。でもそんなことをしたら、奥様にお母さんお父さんのために。奥様を見習わないと私の為に、今もうたくさん大変な仕事をして。私も仕事をして少しでも奥様のお役にたたないと。
「あなたは大丈夫?」
「はい私は元気ですよ」
もし、ゾンナさんが私をしたことを知ったらきっと嫌うはず。ずっと私に優しくしてくれていたのに優しくした人が人殺しだったなんて
「旦那様の葬儀が終われば、一つ落ち着くと思いますからそれまで倒れないように」
「ありがとうございます」
全て私のせいなんです私の
「本来なら私たちがするはずのない仕事ですからもし失敗しても深く考えないで」
「え、あ、はい」
「暗い顔をしていたので先日の事かと思いましたが違いましたか」
「いえ、ええとはい。頑張ります」
暗い顔の理由をもしここで、正直に告白すれば一体どうなるんだろう。
何だか前より優しくなった気がする。ゾンナさんは相変わらず優しいけれど、てっきりそれが当たり前なんだと思っていた皆が私があいさつをしたら返してくれるようになった。ゾンナさんだけでもびっくりなのにもっと厳しいメキュベリーさんも仕事以外で話しかけてくれるようになった。ちょっとだけおしゃべりもした。「おまえさん少しは休んでもいいんだよ」って。「旦那様は怖かったろう」なんて。旦那様がいないだけでこのお屋敷は変わった。毎日が忙しい。
裏口に山のようないっぱいの花が届いた。これをミスターチーリーが確認しやすく整理する事。花の束を掴む、これに包まれて旦那様は送り出される。周りに誰もいないことをちゃんと確認してその花に顔をうずめた。甘い良い香りがして、春になると丘に行って沢山の花がベッドみたいになってる所に飛び込む。体中が甘い香りに包まれてまるであの時に戻ったような気分になったけれど、ずっとこうしていると誰かが来ちゃう。これは旦那様の花なんだ。私が殺した。見られたら怒られちゃうってパッとでてくるとお屋敷に戻った。表はここじゃないみたいだけど裏口はあの木なんて、家の近くの木だと思えばそう見えてしまう。花だけがふわふわ綺麗であとは寂しくて。いつの間にか高い所から落ちちゃったみたいに世界がぐるぐる回った。今日のは違う、私落ちちゃったんだ高い所から落ちたら地面にぶつかって卵みたいに。丸まなきゃって思ったら地面。最初から地面なんだ。じゃあなんで落ちたって思ったんだろう。あれ、どうして私は地面で寝てるんだろう。空が青い。立たないとお洋服が汚れちゃうのに。体がすごく軽いだけども岩になって、ちがう、ああそうだ首が切られたんだ。首が痛んできたやっぱりそうだ、顔は動いてるのに、体が全然動かない。もう死んじゃったんだ、首だけになっちゃった。もう私は何も考えなくてもいいんだ、今だったら奥様にも家族にも大丈夫なままでずっと日が続く。そうだ、私
足音が近づいてくるゾンナさんは私を見つけてびっくりして近づいてくる、「大丈夫ですか、どこか打ってませんか」私が倒れたと思ったんだ、仕事を怠けて寝てるとは思わないなんて私は一生懸命やってるように思ってくれて、優しい人、本当にありがとうございますごめんなさい、ごめんなさい。私しにたいです。
忙しすぎて倒れたと思われて、私がやるはずの今日のお仕事は全部無くなった。旦那様の時はそんなことあるはずがなかったのに。私たち物じゃなくて人になったんですね。魔法はなくなって大変だけどもみんなお喋りできるようになった。そうすると私が王子様。ただの人殺しなのに。朝そういえば今日は牧師様がいらっしゃるって聞いたと思う。葬儀をあの教会でやるって知ったときはおとぎ話と知ってる世界が合わなくて不思議な気分だったけれど、この土地にある教会はあそこだけって聞くと本当はすごい所だったのかなって思う。牧師様は楽しい話悲しい話起こった話全部ニコニコに聞いてくれた。そうだ牧師様に逢おう、牧師様なら絶対何か教えてくれる。この前来た時は忙しくて結局見ることもできなかったけど、今こうやって自由なのはきっと合えばいいっていう神様からの教えに違いないはず。牧師様に会えると思うと、何とか歩けるくらいだった体が元気になって。いつ来るのかわからないけれど多分今来てるはず、分からないけれど。少し歩いて門の前を窓から見るとあの馬車がある。あれは村の馬車を持ってない人を乗せるものだからじゃあ、もう来てるのかもしれない。奥様の部屋で話してるはず。きっとゾンナさんやメキュベリーさんに会えばまたベッドに戻されるから、気を付けないといけない。なんとか奥様の部屋にということはあの夜から初めて、奥様に会う事に。その時私はどうなるんだろう。きっとそこにはルクベスさんもいる。奥様と私が殺したとき一番近い場所にいたルクベスさん。ずっと私を怒ってくれていたからもしかしたら私が殺したと思ってるかもそしたらそれこそ奥様以上にどんな顔をすればいいのか。もし会った時に人殺しって言われたら奥様がいる場所じゃしないよね。足音が聞こえてきて、見つかるかもと思ったけどこの足音は男の人の足だ。やっぱりミスターチーリーだった。あの鳥のような眼を今日もしてるその後ろにいるのは、なんでだろう涙が出てきた、久しぶりの牧師様だったミスターチーリーは目で使用人は隅に行けと言ってきた、いつも通り思わずそうしかけたけれど
「リアリではないですか」優しく手を掴まれた気がした。
「お久しぶりです牧師様」
「少し大きくなりましたか」
「そうでしょうか、すっかり行く事もなくなってしまいましたし」
「行かせたら仕事をする時間が無くなりますよ」
ミスターチーリーが入ってきたけれどこれはもう少しお喋りしてもいいんだろうか。
「ごめんなさい」
「教会を作ればよかったかなこの近くに」
「そしたら牧師様が大変になりませんか」
「大変でしょうけど、迷える人々とともにあるのが教会なのですから」
「お話し中悪いけど、奥様がお待ちしていますから。君も仕事に戻りなさい」
「はいすみません」
「リアリ。ではまた会いましょう」
「はい、牧師様」
ここでずっと待っていればまた来るだろうか。準備をちゃんとすれば窓を拭いていましたって嘘を付けば。終わった後なら少しばかり話しても最近分からないけど岩みたいになるんですって。
「ああそうだ」
「牧師様?」
「リアリ○○○○○○○○○○○○○○」
―――――――かみさまがわたしにかみなりをおとした―――――――
何を言ったか分からなかった、何も聞こえなくなった。だけどもくちびるは分かった。奥様との楽しかった時間がこうなるなんて。目をつむっていれば。私分かりたくなかった。牧師様から、牧師様に言われたなんて。優しいあの牧師様から。もしかしたらもう戻れないのかもしれない、お話を聞いて牧師様とお喋りをして走って帰ってお父さんのお手伝いを。ああ、本当に私しんだほうがいいんだなぁ。もう何もかもダメなんだ。ダメなんだダメダメだぁ。
いつの間にか泣いていつの間にか寝ててそしたらゾンナさんが起こしてくれた。
「夕食を持ってきました、体の調子はいかがですか」
「だいじょうぶです」
「大丈夫には聞こえませんが」
「本当に大丈夫ですもう元気に」
「これを食べたらすぐ休みなさい。もうすぐ葬儀と同時にこの忙しさも終わりますから」
「もうすぐっていつですか」
「葬儀は明日ですからね」
明日。明日旦那様が。あの夜がさっきのようでずっとずっと昔のようだったのにそうなんだ明日。
「リアリさん?」
「あ、すみません。そうですね、明日の為に今日休みます」
「明日働けますか」
「はい大丈夫です」
「無理はいけませんよ」
「していません、明日は頑張ります」
無理をしないといけないんです私は。
―――――――――――――――――――――――――――――――っ
教会は人であふれている、そのなかでも黒い服の奥様はまるで目の前にいるみたいに浮かんでる。布で顔を隠しているけれど、美しい気がする。この時間私はどうすればいいのか分からない間に全て終わった。この葬儀までずっとずっと長く色々考えていて、今日今この時がはるか未来の話だったのに、あっけなくすぐに終わった。牧師様のお話も弾様のための歌も。すぐに終わった。旦那様が馬車に乗り、その後ろを奥様達。この後は全てお墓の人たちをするので私たちは葬儀に来てくれた村の人たちにお礼をした。一人一人、知ってる人だらけで、あらリアリちゃんって言われたけれど今私はお屋敷の人だから、嬉しいけれど
「今日は来てくださって誠に有難うございました」って言う。知ってる人だからなんだから恥ずかしいけれど、それ以上に何だかどんどん何かがなくなって行く気がする。
なんでだろうと思ったけれど、次にお父さんとお母さんが来たからびっくりする。きっと来てるはずと思ってたけれど葬儀の時うっかり忘れてた。でも、
「きょうはきてくださってまことにありがとうございまし」
どんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどん遠くなって
「た」
私はもうあの麦畑に戻れないんだって言う事が良く分かった。私はこのお屋敷の人で、奥様のお喋り相手で、人殺し。

私にはいくつも先が有る。まず死ぬこと、次にこのお屋敷をやめる事。でもそしたら私はどうすればいいんだろう、家に戻る?そんなことできるはずないのに。じゃあこのままお屋敷で働く?一番偉い人を、私が殺した。奥様に私が殺させたこの場所で!そんなことやっちゃいけないし出来ない。もしかしたら葬儀が終わればなんて思ったけれどまるで駄目、私はもう昔の私じゃなくて戻ってこれない私になりました。右から左から上から見えない岩に押しつぶされてる気がする。きっとこのまま生きている間ずっと押しつぶされたままで、手を動かそうとも歩こうととしても全然動かない、このままこうやって横たわって死ぬのを待つだけ。そうだしんじゃおう死んじゃえばいいんだしんじゃえばいいんだしんじゃえば
ノックされた。何とか足のままだったところを動かして急いで開けると奥様がいらっしゃっていた。奥様は最後のあの日からうんと綺麗になっていて。お化粧もきらびやかな衣装もないのに私が見たどの奥様より綺麗になって微笑んでいて。そうだ、奥様は私の女神様なんだ。どこまでも落ちていた私の目の前にふわりと空を飛ぶ奥様が来てくださって、今の私にはあまりにも眩しすぎて目がくらんで、
「おっぎゅさま」
「びっくりした?」
恥ずかしい恥ずかしい、いくらおひさしぶりにお会いになったからって。ああドキドキしてる、体が熱くてこのまま燃えて何もなくなってしまいそうで、だけども私今までで一番元気だ。すごいすごい私生きてる。
「ねぇリアリ」
「はいっなんでしょう」
あの夜以来で色々あってこの後ゾンナさんが言う事にはここがなくなって違う別の人のものになってしまうのかもしれなくて、いいたいことはたくさんあってだけどもわたしもたくさんあって。もしかしてそういうことを言うのかな、落ち着いた今使用人の中で私に。
「星を見ましょう」
何を言ってるのかわからない。いえちゃんと聞こえていたけれどそれがどういう意味か分からなかった。こう葬儀が終わったから大事なお話を、わざわざ来てくれたんだからすると思ったんだけど。奥様が外に出て私を手招きをしたから外で星を見るんだってわかった。そういえば今日はメキュベリーさんはいないんだ。そう思っていたら、奥様は廊下の窓を開けていた。
「見て」って奥様の動きをまねして空を見上げると、宝石のような星がきらきらしていた。昔はよく見ていたけど、そういえば最近星をちゃんと見たことがなかった気がする。小さいころ見た空とおんなじ星だ。
「綺麗ですね」
「そうね」
星の光が楽しそうな奥様の顔をきらきら照らしていて、美しいなぁ。だけども何だか不思議と言うか、何と言うか。
「どうしたの?」
こわい。
「奥様はどうしてそんなに楽しそうなんですか」
「それは、ようやくリアリに出会えたから」
「奥様は!」本当に言っていいの言わないといけないのでもせっかく、言わないと
「旦那様を、殺したのに」
私はまた落ちたような気分。折角台の上に立っていたのに勇気を出してまっさかさまなのにどうしてまだ奥様は微笑んでいらっしゃるんですか。
「私はね、リアリ、この空をここでしか見ることが出来なかった。でもね、リアリは家もそうでしょうけど色んなところでこの空を見たでしょう。これから私はリアリと同じ空を見れるの」
麦畑の近くで星を見上げていた私の隣に奥様を入れていた。きっとどんな時よりも楽しいと思うけれどやっぱり駄目だ。なんでそんなに明るいのですか。
「奥様にとって、旦那様は悪い魔法使いでしかなかったんですか」
私はどんな答えをしてほしいんだろう
「魔法使い?何の話?」
そう呼んでること話したことないんだから知ってるはずないのに、私のバカ。
「あのですね、お母さんがしてくれたお話なんですけれど」
魔法使いによってカエルにされた女神さまのお話。上手く話せるかどうかわからなかったけれど、何とか全部話を思い出し、たよね。きっと全部話せたと思う小さいころから好きなお話だったからいきなりでも上手く話せたはず。奥様はとっても楽しそうに聞いてくれていつもは私が菊川だったのになんだか不思議な気分。今気づいたけれど、ずっと押しつぶしてた岩がどこにいなくなってる。
「ありがとう面白かったわ」
「そう言って下さると嬉しいです」
「それで、あの人が魔法使いで私がカエルってこと」
「カエルになった女神さまです」
「やっぱりそうなのね。っていうことはリアリが王子様なのかしら」
「わったしは、そんなそんなものでもなくて」
「恥ずかしがらないで私の王子様」
何だか良く分からない今の気分は遠い遠い遠い所に来た、でも昼間の気分とは違うこれは良く分からないけれど良く分からない。嬉しいのか悲しいのか怒ってるのか楽しいのか。楽しい?今ここが?
「それで、魔法使い、だったんですか、旦那様は」
私はこれを聞いてどうなるか分からないけれど今聞かないと絶対いけないと思う。絶対に、奥様の唇をじっと見たけど気づいたら顔全部を見ていた。奥様は微笑んでいて、このままずっと時間が止まるのかなって思ったけれど
「いいえ」
じゃあ、旦那様は一体なんだったんですか。奥様のたった一言で私の中で大きな嵐が怒って何もかも吹き飛ばした。奥様を愛してだからこそ私を殺そうとして、でも奥様はそれが嫌だったから殺して明るくてとかなら、まだ、分かったのに違うならじゃあなんで。私が馬鹿だからわからないだけかもしれないけれど、でもきっと奥様は何一つ旦那様の事で悩んでいないですよね、あの夜旦那様が階段から落ちたことにした時もきっと。普通怖いじゃないですか、自分の旦那様ですよ何でなのにどうしてそんな表情でそんなことばっかり言うんですか。言うんですか、言うんですか?
「そんなに私の事が怖い?」
さっきまでの事口に出てた?いいえ言った方が良かったからでも相手は奥様で
「リアリは顔に出るから好きですよ。楽しい時はいっつも表情がコロコロ変わりますから」
「今はどんな顔をしていますか」
「怖い顔」
私の顔が怖いんだろうか、それとも奥様を怖がってる顔なんだろうか。
「私の事嫌いになりましたか?」
私に語りかける、楽しそうに。私が知ってる奥様はいつも楽しそうで、いつも美しくて、それだけそれしか私は知らない。私はそれだけがすべてだとずっと思ってた、そんなはずないのに。私に聞いている。私の知ってる奥様は奥様じゃなかった、じゃあどう思うのって。私は私の理想の奥様を好きになったの、それとも。まず第一どうして奥様は私の事をここまでしてくれるのか。私は何も知らないずっと奥様の後ろをついて歩いてきただけで、奥様を見ようとしていなかった。何も考えないでずっと、歩いて。あの夜も、奥様に全てを任して、どうして階段から落ちたことにしたのかも、これからどうするのかも。ただただ時間が流れるのを待っているだけで。
「教えてください」貴方の事を。
喉がかすれて多分言ったと思うんだけどどうなんだろうちゃんと聞こえたのだろうか。もう一度言う?奥様は微笑んだままで、あの
「楽しいお話をしてくれたお礼です。少し長くなりますが聞いてくれますか?」
気づいたら首が動いていた。

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