そして二人は幸せに暮らしました~その4~

朝早くから旦那様が出かけて行ったから、今日は何を教わるのかしら。神様は終わったから、いつも奥様が呼んでるものだったらいいのにな。せっかく奥様が言葉を教えてくれるなら少しでも奥様が読んでるものが分かりたいし。パタパタと奥様をはたく本物じゃないけれども。本当にこの絵はとっても美しいけれど奥様の事を全然わかってないわ。何回も季節が変わるのを一緒にいた私が言うんだからきっとそうだわ。私がちょっとでも絵を描けたらこれよりも美しい奥様が書けるのになぁ。この絵を描いた人も奥様じゃなかったらよかったのに。私がもし奥様の子どもだったらこの横に立って絵の中にいたのに。なんて、私なんかが思うのには悪いことだよね。私は奥様のお話し相手なんだから。そうだこの絵について聞いてみよう、奥様の絵をかくなんて私だったらそのためだけにかけるよう頑張りますって。奥様が、私がしゃべった時にする顔、好き。
おうちにいた時はあんなに日が沈むまで長かったのに奥様の事を考えたらうんと早く夜が来ちゃった。どうしてなんだろう、やっぱり奥様は女神さまで不思議な力が使えるんだきっと。
コンコンドアが叩かれた
奥様だっ、奥様がいらっしゃったんだ。今日は何をお話しできるんだろう何があるんだろう何だろうかな何だろうかな。
「奥様こんばんは」
「こんばんは、今日もお仕事ご苦労様ね」
「大丈夫です仕事ですから」奥様が私の事を気にかけてくれるなんて、しかも旦那様に知られることなんてなく。
「ルクベスさんも、こんにちは」
「どうも」
うーんやっぱり、怒ってるんだ。・・・『あなたのせいで奥様は狂ってしまいました』って。私はお部屋をくれたことを大事に思ってますから。何度も今日も目をそらされても私は好きですから。旦那様に言わないルクベスさん、その上で私は勝手にふるまってるやっぱり私って悪い子なんだ。
「じゃあ今日はこれを読みましょう」
赤い表紙の本は窓の向こう側にあったあの
「ええとね、じゃあここを読んでみて」
これ、が、奥様が読んでいた、あの場所であのときに読んでいた、とても素敵な顔で見ていてまるで絵の中みたいな綺麗な、でも今もとても綺麗で奥様の白い肌に赤い表紙がとても鮮やかで。
「どうしたの?」
「いえ、何でもありません。ええと・・・・・・はる、の、ひかり、は、とても、まぶしい、くて、め、が、くらくら、する。」
「じゃあ、・・・・・・・・・ちょっと難しいここを読んでみて」
「はい。ああ、かみさま、は、なんて、ひどい、の、でしょうか。わたしたち、ふたり、に、かみなり、を、おとすなんて」
「はい、いいですよ」
今喋れる!
「か、雷なんてびりびりしちゃいますね」
こういう時なんでいつも口が震えちゃうんだろう。奥様に恥ずかしい所をいつも見せてしまうなんて。
「そうね、ピリピリしてしまうわね。でもこの人は本当に雷にあたったわけじゃないの」
「じゃあどういうことですか」
「雷は当たったらね死んじゃうのそれくらいの気分なのよ」
「この人もうすぐ死んじゃうんですか」
「ううん、あまりにも気持ちが大きすぎて死んでしまいそうになるの」
死んじゃう気持ち?大きすぎて、私が奥様に初めて会ったときはとてもとてもわからない気持ちであれは大きいってことなのかな。でも、死んじゃいたくない、あの気持ちがあったから今日生きてるからきっと違うなぁ。死んじゃいたいくらい大きくて、ええと。
「そんなに悩まなくてもいつか分かりますよ」
顔に出ちゃってた。
奥様の笑う顔はとても美しい。だから私は考える、旦那様にもこの顔を見せているのかなって。夫婦なんだけど、カエルに代えられた女神さまと悪い魔法使いだもの、旦那様は愛してるって聞いてはいるけれど。奥様に話し相手でしかない私が聞くなんてこともないし。奥様の口から旦那様の話が出たこともない。ひと月の間に数回旦那様の書斎を任されることがある。掃除すること。粗相をしないようにゾンナさんに強く言われるけども、同時にちょっと失敗しても旦那様は怒らない。昔掃除の途中で部屋にあった花瓶を壊してしまった人がいたらしい。旦那様の部屋に水が広がった。でも結局注意されただけで結婚して去るまでここで働いたって。ゾンナさんは言った。「怖い方ではありますが基本的に奥様に関わらなければ寛容な判断をする方です」部屋は私が掃除する事があるのかなみたいに綺麗。昨日掃除があった後使ってないのかなと思うけれども、時たま本が置いてあることがある。私日本の違いなんて分からないけれども、なんだか奥様の本とは違うような気がする。旦那様みたいに重たい、ドーンズーンとしてるみたいな。いつもいろんなところに行ってる。だけど、帰ってくると奥様のそばを離れることは絶対ない。寝るところまで一緒だから。いない時に一緒にいる私がまるで泥棒みたいだ。泥棒だからルクベスはあんなに怖い顔をしているんだ。
一回旦那様について考えてみよう。あれは、蝉の声の時。
「旦那様はどう見えますか?」
私が奥様の事ばっかり考えているから教えてくれたなんて優しい人なんだろう。奥様はもう「周りの事を考えず」にいるから私に気を付けるよう教えてくれた。
「あなたもこの屋敷にてしばらく経ちました、旦那様周りの仕事もやっていますね。そしてどう見えましたか?」
このお屋敷で一番偉い人。もっと考えればいろいろ分かってたはずなのに本当になんであの時はあれくらいしか出なかったのは私が奥様しか見てない頭の悪い子だったなぁ。あの時に旦那様に気づかれなくて本当にありがとうございます。
「もっと言うと?」
もっと。ドーンとかクマさんとしか出てこなかったけどそのままいえばよかったのかな。とりあえず何でもいいから言えばよかったそれが思ったことなんだから。「みんなが怖がってる人です」っていうまで一体どれくらい時間がかかったのか。
「どうして怖いの?」
どうして?どうして怖いの?
「・・・ここでは、旦那様が言った通りにしないと」
「それはあなたのお父さんと一緒?言いつけを破ると怒られちゃう」
「違います、その」
金色
「私たちは麦です。形が悪いとかられてしまう、旦那様の思う様に成長しないといけなくて」
「麦。そう貴方らしい。でもその通りですね、奥様も人じゃないけどもっと人じゃないのは私たち。だからこそ気を付けないと」でも、結局は旦那様は私達に部屋をくれた。奥様がルクベスさんに言って旦那様に言ったから結局このお屋敷の人はみんな優しいのかもしれない。「あくまで、いい?あくまで、あの使用人部屋では休息がとりにくいと思ったから旦那様に伝えただけなんですよ。その結果、旦那様がその通りだと使用人全員の部屋を用意したというだけですからね」結局麦を刈るのは当たり前だからいい人なのかもしれない。でもやっぱり悪い魔法使いなのかな。結局は奥様がどう思っているかだよね。
「奥様は
私たちの為に物になっているのです
だけども
もう、自分の事しかあなたとの事しか考えなくなりました
初めて自分で動いたことですからね、私は見守りますよ
でも
あなたはお喋りしてる人の喉元にこうやって刃を突き付けている人がまともだと思って?
奥様は今そう言う事ですよ」
奥様はそんな人じゃないけれども。ルクベスさんは嘘をつく人ではない。じゃあどう言う事なんだろう、旦那様は奥様の事を愛している、だからおしゃべりしないでって言ってる、奥様はお優しいから守るけれど破ってる。それは奥様は旦那様の事を愛していないって言う事??でもと言う事は旦那様より私の事の邦画って言う事。そんなことあるはずがない、から。じゃあどういうことになるんだろう。いつもここで分からなくなっちゃう。
いつだって私は奥様の事が分からないけれど奥様の顔を見てすぐに忘れちゃう。結局私が奥様と旦那様で知ってることは良い人?かもしれない魔法使いと女神さまって言う事だけ。奥様可愛いだけじゃだめだってこのお屋敷にいるからわかったのに、どうしてかやっぱり私じゃこれくらいしかわからない。せっかくルクベスさんが怒ってくれたのにそれからどうすればいいんだろう。全然わからない。奥様と話せるって言う事だけが楽しみでずっと過ごすけれど、それ以外は何をすればいいのか全然分からないででもお掃除する事は分かるからするけれど、「慣れて気を抜くと大変なことになりますからお気をつけて」ってゾンナさんに言われちゃったし。私の周りはいい人ばっかりなのに私はないも考えてなかったから。きっとこんなに頭を使ったのって初めて。私がお屋敷に来る前はこんなに考えた事なんてなかったんだから。こんなに頭を動かしても出てくるのは周りに知られないようにお話ししようってことしか出てこない、私の頭。
奥様が狂っただなんて言うけれど奥様はとっても優しい。だから、そんな危ないことはしないはず。もしかしてだけど、旦那様に知られたら殺されちゃう、そう思っているだけで本当はそんなことないんじゃないのかな。それを知ってるから奥様はきっとお話ししてくれるんだ。旦那様の事も好きだから、言いつけを守ってるけれどきっと旦那様は優しくて破っても怒って許してくれる人なんだ。確かに大事に思ってものにしてるみたいだけど、お部屋をくれた旦那様なんだから。そしたら奥様が狂ってないし、旦那様は優しいんだ。ここずっとずっと頭を動かして来たから今ヒュンヒュン飛んでる。きっと旦那様はお話しをしたら殺しますって言ったんだ。でも、それはお話しをしたらすごく起こりますっていうのと一緒で。熊さんも作物を荒らして人も食べちゃうっていうけれど、でもお父さんは言ってた。熊さんは本当は優しい生き物で怖いものじゃないんだよって。もしかしたらそうなんだ。でも、私ならわかるけれど、ゾンナさん、ルクベスさん、このお屋敷にいる人たちみんながそうだって思うのかな。やっぱりわからないけど。
「今日は雨が降ってるわね」
「そうですね」せっかく奥様が来てるのに暖炉もない部屋で寒くなっちゃってるなんて雨嫌だなぁ。
「外に出てみましょうか」
「えっ」部屋の外に出る?そんなことが起きていいんですか。
「嫌?」
「いえ、そんなことはないんですけど、えっと外に出るんですよね」
「ええ、今日はほら久しぶりにあの人は帰ってこないから。ね、ずっといたでしょあの人」
そうですけど。ルクベスさんは。目をつぶって腕を組んでいる。胸がきゅうってする怒られてないのにお母さんに怒られてるのと一緒だ。
「ええとやっぱりあまり外に出るのは」
「屋敷の者はみんな寝ていますよ。わたしのことが嫌いにでもなったの?」
「いえそんなわけじゃないです」頭が奥様の事でいっぱいになる。動かすとルクベスさんを見れるけれど、そんなこと。
「どう?」
雨が壁から聞こえる音がもっと大きく聞こえた。ずっと外の雨が大きく聞こえたけれど中庭に出るともっと大きくてびっくりした。明るい庭が真っ暗になって雨がいっぱい打ちつけられているなんて不思議なんだろう。そういえば夜遅くなってこのお屋敷から出たことなんて一度も。横で奥様が動くのは分かったけれどまさか雨の中に出るなんて思いもしなかった。
「お、奥様っ」
水の宝石を奥様が身に着けた。楽しそうに濡れて庭を歩いている。髪が御着物が張り付いて、雨の水の女神が表れているんだわってすぐに思った。雨の一つ一つが奥様の為に有るように見えた、きっとそう。おとぎ話の中の全てが本当にあるなんて。私が見えるようになって目の前にあるなんて。
「リアリいらっしゃい」
私雨の中にいる、呼ばれてそしたらすぐに。ここはおとぎ話の中なのに私がいちゃダメなのにどうしてだろう、こんなぐわーって感じ。
「リアリ」
「はい奥様」手をつないで水の世界を歩く私は女神さまの従者、天の使いになれたんだ。奥様も私も宝石を身にまとっている。体中に染みこんで、いつかあの窓の外になんて思っていたのに陽の下じゃないけれど、奥様と一緒に。今私が見たらきっとステンドグラスの中にいるんだろうなぁきっとそうに違いない。だってこんなに嬉しいんだもの。
いつまでも私はこの中に入ったままで戻らなければよかったのに。
「こちらが着替えになります」
ここが、奥様と旦那様の寝室。浴場より近い場所に作っていただきありがとうございます。ここで奥様は朝お目覚めになって夜お眠りにつくのですね。隣には旦那様が。美しい寝台の周りには美しい品々が溶けるような香りの花が花のような花瓶に入ってまるで花畑。でも、この周りにある剣はきっと旦那様の目なんだ。剣の輝きが奥様と私の奥までを見ている。
「ありがとう、少し外で待っていただけないかしらら。着替えが終わるまででいいのよ」
「それくらいでしたらいいですよ」
「ぁりがとうございます」
「いいえ」
お礼くらいちゃんと言えたらいいのに。どうしてもドキドキしちゃう。
「すっかり濡れてしまいました、早く着替えないと風邪ひいてしまいますよ」
「あの、ルクベスさん外に出てしまいましたけど」
いつも、奥様のお着替えをするのにいないってことはもしかして私が、あの奥様のさっきつかんだ手の残った熱がまた。
「そうね、でも服くらい私は一人で脱げます。貴婦人様でも召使がいなくてもできることはあるのですよ」
「それは勿論。奥様だったらなんでも」
私じゃない、よねですよね。
「ほら、それよりもリアリあなたが早く脱がないと。小さな体にこの雨は答えるでしょ」
「お気遣いありがとうございます。それじゃあ」
「雨は」
「はい」
着替えを止めて聞いた方が、でもせっかくのお心遣いを無視しちゃダメだから着替えながら聞くって言う事でいいですよね。
「いつも見てるだけ。生まれた時から雨の下に出るのを誰も許してくれなかったの。風邪ひきますわって」
「それは、大事な奥さまですもの」
「だけどもリアリは止めてはくれないのね」
「えっとそれは」
「それは?」
「それは」
「それは、わたしの事大切じゃないからかしら?」
「違、」
私の目を見てるからずっとこの胸の奥まできっと見られているんだ、私は見られて奥まで知られて、早くあのことを言ってねぇわたし知っているんですよって奥様が笑って。
「・・・・・・・・雨の、中の、奥様がきれいだったからです」
言っちゃった、恥ずかしい。顔が熱い、奥様とお話は良くしてるのにこんなに体が真っ赤になるなんて、胸の音が聞こえる。
「あら嬉しい」
「ええと、奥様のなさりたいことはその私もしてほしいことですから」
「そうなの、可愛いリアリ。じゃあ私の服を脱がしてって言えばすぐにしてくれたのかしら」
「それは勿論。恐れ多いですが」
今目の前には奥様の白くて柔らかい裸の、これがあのドレスの中の。私が服を脱がしていたらこの光に触れていたのそしたら私きっと、ううん絶対絶対。
「じゃあルクベスのこと疎ましく思ってるんじゃないの?」
「そんなルクベスさんは優しくて私たちの為に色んなことしてくれる」
「そうね、ルクベスは優しい女性ね」
「そうですよ」
「でも、何でもはしてくれない。そう思わない?」
「そうですか」
「そうなのよ」
ダメだ、私はいけない子です。奥様の御体しか考えられなくなってしまっていますもっとお話が出来なくなりそうです、奥様。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「わたし達裸で一体何を話しているのかしらね」
ああ、その微笑む顔、私よりもずっと大人なのにこういう時まるで同じ年みたい。
「そうですね、早く着替えた方が」
ダンと入ってきたルクベスさんからお仕事で大変なことをして怒られる前と同じ感じがした。きっともうこんな時間が来ることはないのに、もうそうなんですね。
「奥様、旦那様がお戻りになられました。こちらに参ります」
「えっ」
遠い所じゃ。
「申し訳ありません、馬車の到着に気づきませんでした。早く御着替えください。リアリさん貴方は隠れて」
「えっ」
?頭がしびれて
「リアリ、着替えを持ってベッドの下に」
「は、ははい」
「旦那様少しお待ちください今奥さまが旦那様」とにかく隠れないとと思って頭から入って足を全部入れたとたんにドアが開いて、大きな黒いものが旦那様が入ってきた。もしあと風が通り過ぎる分だけ遅かったら。奥様ありがとうございます、ここからだとどれくらい聞こえるんだろう。今は雨の音しか聞こえないからもしこの服がすれた音が聞こえたら。
「帰りが早かったのですね」
「何故ルクベスは着替えの仕事をしていない」
バタンと閉じられてお二方とベッドになった私だけが
「今日は忙しかったみたいだから私一人でやらせてほしいとお願いをしました。反対されましたが無理を言って。些細な事ですから」
ああ奥様さすがです私だったら逃したが震える喋ってない今でも震えるのですから確実に、なのにまるでここに私がいないかのように。せっかく奥様が隠してくださるのだから息を殺して、思い出して、かくれんぼで麦畑の中にいたことを、鬼がそこまで来て。リアリちゃんリアリちゃん何処、靴が目の前に見える丸くなって、風が吹いた時に息を吸って。雨の音の中で息をして。
「どうなさったのですかこんなにも急に。お泊りになるのではなくて?」
ありがとうございます、私から話をずらして。
「捨て置けない事情があって戻るしかなかった」
「そうなのですか」
「犬は尻尾を振っても我々を肉としか見ていない」
「ええそうですね。でもあなたのおかげでこの土地で生きていることは分かっていますよ」
「分かっているから犬なのだ、結局は己の本能のみで生きる畜生。そう思わないか?」
「それは仕方ないことでしょう。偉大なる英雄ですら色に溺れて死んだのですから、民が偉業を達せるとは思えません」
「英雄ですら犬だった。そうだ結局人間は犬なのだだからこそ神の庭に住まう者だけでも正しい人間でなければいけないのだ。世界の神に奉仕するためにな」
あ、私だ。私に向かって言ってるんだ
「お疲れではありません?お仕事の前にお休みになったらいかがです」
「ああそうだ、疲れているしこれから疲れるんだこの世界の為に神は仕事をしなければいけない。だが、どうやら戻った真の意味はそれでは無かったようなのだよ。神は知った、恐ろしい悪魔の存在を。人から一度堕ちた物は犬になりそしてどこまでもおぞましい生き物になるという」
やっぱりそうだ、声が私に言ってるんだもん。きっと気づいてる、知ってるベッドの下の奥底に旦那様の目が届いているんだ。でもどうして。足がベッドから離れて壁に、壁に。気づいているのにどうしてこのままいれば気づかれていても、広いこの底なら旦那様が手を伸ばしても体を縮めれば。
「君は耐えられるかそんな邪の上で生きるなんて。嫌だね、ベッドの下も君の心に住まう者も」
チャキッと音がしてわかった。そうだ、壁にはあったんだ剣が。シュッて音がしたら足がどんどん大きくなって、近づいて、ここに来て初めて旦那様と目が合った。
「やぁこんばんは」
身を縮めたらさっきまで顔があった場所に死が。動かなくちゃ逃げなくちゃ上に下に、あでも歩き回れなくて虫のようにしないと。どうすれば上に右に、動かないとまるで医師になったみたいで麦の金色の麦が。リアリちゃんみーつけた、横を見れば子供の頃の工場で働いてるあの子が。逃げなきゃ逃げないとここから出ておうちに帰らなきゃ。
「――――――――――――――――――――――――――――――」
くびのうえだけほそいふゆがきたみたい
死んじゃうほどの叫び声みたいな音がして、目の前には金色の
「リアリ、おいで」
そうここはベッドの下。ああ首が熱い、体中がどんどん冷たくなってる。私生きてる、今どういう感じでここは麦畑じゃなくてお屋敷のベッドの下で私は。
「リアリ」
のそりと出ると、ベッド周りには花と花畑だったものと大きな黒い。
「ああ、かわいそうなリアリ、首にそんな傷が。血もどんどん出てしまっているわ。ちょっとお待ちになって」
奥様がしゃがみこんで旦那様の胸から白いものを取り出して
「ハンケチーフだからこれで首を抑えてギュッと、そうすれば確か血は止まるはずです」
手が奥様の手が布の上から私の首に。血を止めようとしていて、どうして私は血が出ているんだろう。
奥様の息遣い、私の心臓の音、雨がまるで手でお屋敷を叩いてるみたい。
気づくと廊下にいた。心配そうに待っていたルクベスさんは首の傷を見ると慌ててお医者様を呼ばないとと言ってくれたけれど、こんな夜に呼んでしまったら大変なのでお断りをした。奥様と旦那様とお二人でお話になるそうです。使用人は近づくことなく仕事の時間まで休息を取るようにと奥様が教えてくれたことを一つずつ間違えないように言った。見れないように動かしたし扉の開け閉めも中が分からないようにしたから旦那様は見られなかった。ここで気づかれちゃったら私のせいで。
翌朝にはお屋敷が大騒ぎになった。旦那様は怒りのあまりに階段から足を踏み外してしまいそのまま・・・。

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