左から、井神沙恵(出演)、ハセガワアユム(作・演出)

1.QSC6授賞式を終えて、今の気持ちを一言。

ハセガワ ベスト3からはこぼれてしまったのですが、まさかふたつも賞を頂けると思っていなかったので、乙女のように喜んでしまいました。最近YouTuberというものに興味があり、動画も観まくっていて、ハロウィンも好きだし、沙恵ちゃんも好きだし、岡山(誠)くんも好きだし、好きなものを全部混ぜた作品が評価されたのはすごく嬉しいです。

2.改めて「今作の見どころ」をアピールして下さい。

井神 まず渋谷のハロウィンがすごいじゃないですか。その本物が写っているというか、本物の空気を借りて撮った作品なので、そこは面白いかなと。

ハセガワ 「モキュメンタリー」という、ドキュメンタリーを模したものがあるんだけど、そういうものが撮りたかった。実際の沙恵ちゃんはYouTuberじゃないけれど、初めて見た人が「SaecomというYouTuberがおるんやな」と思ってくれたら嬉しいし、良い意味で騙されてくれたら。その為に本物のドキュメンタリーではなく、演技の出来る俳優とエチュードで作ったので。実はこれ、台本もないんですよ。その生々しさとか空気感とか、ハロウィンの臨場感とか、そういうものが混ざり合い、上手く騙されてくれたらすごく嬉しいです。

3.QSC6に参加して受けた「刺激」があれば教えて下さい。

ハセガワ 僕自身も気をつけていることだけど、映像で演劇を観る時に「その演技に対して何故みんな違和感を持たないの?」と思う。舞台上ならその発声や演技は気にならないけど、映像という残酷な世界で観た時に、その演技が無条件で受け入れられるわけないじゃん、と。このコンテストは15分間カメラを回しっぱなしにする特異なルールだから、僕は「それをどう理由付けするか?」ということを起点にしているのに、今日の審査結果を見ていると、まだまだ演劇的なものが愛されているので、審査員の方も早く気付いて欲しい。敢えて偉そうな物言いをすると「もっと繊細なことをやっているのになぁ」と思っています。

4.今後の抱負、もしくは次回活動予定について。

ハセガワ MUは2018年2月に下北沢演劇祭へ参加して2年振りくらいに長編を書きます。岡山くんは2月のMUに出てくれて、沙恵ちゃんも丁度2月に鵺的に出ます。今後の抱負は、演劇をやっていると楽しいこともあるけれど、悲しいことも現実的なこともいっぱいあるので、YouTubeや動画を使って、俳優や演出家の魅力をパッケージする手法を積極的に活かしていきたいです。新しいムーブメントが来ているのだから、演劇だけがこれに乗らない手はありません。「演劇は生なので劇場へお越し下さい」という態度だけではなく、その呼び水になるような活動を並行してやっていきたいです。

観劇三昧賞/Next賞
『YoutuberのSaecomが渋谷のハロウィンではしゃいでると親戚のおじさんと未知との遭遇』